人と環境に負荷の少ない家
阪神淡路大震災を経験して、建物はいずれごみになることを目の当たりにしたとき、最終的に土になるものを作りたいと、石油化学製品を極力排除して、土や木、紙、石などの古くから使われてきた建材でできた家。
御影草屋根の家
新築住宅 | 木造3階建 | 神戸市
呼吸をする自然素材で、人の手で作る
室内外とも、合板や石油由来の塗料、廃棄の問題のある石膏ボードを極力使用しないで作った家。
外壁は土入り漆喰塗り。屋内の床は無垢板、壁と天井は土入り漆喰塗り、造作家具は無垢材でできていて、柱や梁、階段板に至るまで、全部呼吸する材料で作られています。
手仕事の暖かさを感じながら、雨の日も、暑い日も家の中はいつもさわやかな空気に包まれています
草屋根と庇、木製サッシで1年中自然の力で快適に
地球の温暖化で、夏の暑さは年々厳しくなります。太陽高度の高い夏の熱を遮るのに、一番良い方法は、屋根からの熱の侵入を防ぐこと。そのために、屋根を緑化しています。普通の屋根に比べて熱の侵入量を20分の1に低減。詳しくは「草屋根について」のページをご覧ください。
そのほか、南側の軒を1m出して、夏は日射を遮り、冬は取り入れることができます。断熱材と木製サッシも含め、家全体の断熱性能を高くして、家の中には間仕切りがほとんどないので、狭い家でも圧迫感がありません。ランニングコストを下げながら、家の中の温度のバリアフリーも快適性を確保する上で大事です。
玄関ドアに求めるもの
玄関ドアは、雨に強いヒバ材でできていて、格子付き網戸とサンドブラストガラスの2枚を自由に引き出して使います。光を入れたい冬の日中、防犯に配慮したい晩、風を取り入れながら戸締りしたり、と便利です。
リビングルームは特等席に
密度の高い住宅地にあり、1階より2階の方が明るく、見通しが良いので、家族が集まるリビングルームは2階に。
玄関を入ると存在感のある欅の階段と竹の手すり、光が迎えて、自然と登ってみたくなるようなしつらえにしました。
北側のトップライトは、隣接する家からの視線を遮りながら北にも十分な採光を確保するとともに、南から入った風を自然に天井から抜くことにより、家の中にやさしい風が生まれます。
キッチンは、無垢の扉と大理石の天板でできていて、経年と共にだんだんと味わいが増すオリジナルデザイン。外でお茶を飲めるスペースもちょっと用意しました。
子供室
子供室はガランドウ。子供が大きくなれば仕切ることもでき、独立したときには、また元に戻して趣味の部屋にしたり。
家族の変化に対応できるフレキシビリティを備えることも大事です。
ゆっくりと寝られる寝室
寝室の窓は、直接外部に面していません。そして、明かり障子の拡散光で優しい光に包まれています。とにかく良い睡眠を確保するために。寝室、洗面やトイレなどを含めたプライベートゾーンは、1階にありながら玄関からは見えにくい位置にあり、プライバシーを確保しています。
水回りも大事です
ゆったりして収納も確保されているトイレや、洗濯洗面室は、毎日の生活を豊かにします。浴室は、タイルと無垢板、ホーロー浴槽。何年たってもほとんど劣化しません。
外観は家族の顔、思い出を引き継ぐことも大切です
庭に残した柿の木は、生前祖母がかわいがっていたもの。
アプローチの石段は、祖母の家の庭にあった、踏み石。
そのような家族の記憶を引き継ぐことも大事だと考えています。